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「グループだんだん」が出来上がったことによって、高齢者と若い人達が話し合うようになり、行政とも話し合える下地ができあがりました。「グループだんだん」のリーダーは74歳の女性なのですが、実際に村長さんのところへ行き、“診療所の2階の部屋を利用してショートステイのような事業をしたいのだが”とグループだんだんの提案としてお願いしました。住民から提案が出るというのは村長さんにとってとても嬉しいことで、関前村出身者から村にいただいた1000万をそのショートステイ事業にあてることを約束してくれました。事業をすすめる際、このように、住民と十分に話し合ったソフトづくりをし、その上でハードができていくのが理想なのではないかと考えます。

 

長倉 ありがとうございました。今のお話の中で対話というか話し合ってのソフトづくりということがとても重要だと思うのですが、そういう意味で次は飯塚さんにご発言いただきたいと思います。町全体でボランティア活動推進をやられているということはおそらく全国的に見ても初めてだと思うのですが、公共サービスをも評価する動きというのは、いろいろな問題を抱えていると思うので、飯塚さんの目からご覧になった今の現状、課題をお話ください。

 

●会員管理と運営課題

 

飯塚 私どもがサービス銀行を始めまして、会員登録が今までの累計で行くと全部で2164名です。その中でサービスを提供する人、協力会員として登録されている方が2090名位おります。そして利用会員として登録されている方が37名、これはほとんどが1人暮らしの高齢者、または寝たきりの老人のいる世帯の方、あとはごく少数ですが子育てをしているお母さんです。残りは賛助会員です。
この福祉サービス銀行が1年間で扱った件数は87件です。この数字から、まだまだ皆さんにこの制度を認知していただいているようには思えません。もっと発展させるためにPRが必要だと思います。ホームヘルプサービスやショートステイなどの公的な福祉サービスは行政がやっていますが、ホームヘルプサービスの内容と福祉サービス銀行が取り扱っているサービスのいくつかが重なり合っているので、利用する側がどちらを選択していいのか迷うという問題があると思います。
我々は公的なホームヘルプサービスの補完とは考えておりません。日常生活のちょっとしたことをお手伝いしたり、子どもを学校や幼稚園に送り出した後の空いた時間や、自分の家事をうまくやりくりした中で空いた時間を、隣近所の方に提供していただくためにこの組織を作っているのですが、なかなかホームヘルプサービスとのサービス区別や使い分けがうまくできていないようです。これからは利用する方にもこのような制度を正しく理解していただくためにも、もっとPRをしなくてはいけないと思います。利用する方ももう少しうまくホームヘルプサービスとを使い分けて、自分の日常生活に役立たせていただきたいと思います。
一方、協力会員2090人のうち、実際に困っているお年寄りなどに福祉サービスをしてもよいというのは250名程です。それだけの人数がいながら今までにサービスを提供した人は60人位しかいません。協力会員の方は積極的に登録しているのにサービスでき

 

 

 

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